* サービス全般 (契約 ・位置情報等)
@GPS精密解析情報提供サービスとは何ですか?
Aサービスの特徴は何ですか?
B位置情報の詳しい内容を教えてください。
C品質評価情報の詳しい内容を教えてください。
D実況監視情報の詳しい内容を教えてください。
E位置情報の提供単位を教えてください。
F位置情報の具体的な注文方法を教えてください。
GGPS精密解析情報提供サービスで取り扱う電子基準点について教えてください。
H位置情報の数値データ(POS形式)とは何ですか?
IGPS精密解析情報提供サービスから提供する「PS形式ファイル」とは何ですか?
JGPS精密解析情報提供サービスの申し込み先は?
* 技術的な解説 (解析概要・利活用な等)
@地殻変動とは何ですか?
AGPS衛星の軌道情報とは何ですか?
B軌道情報(暦)の違いは何ですか?
CGPS精密解析情報提供サービスではどの暦を使っているのですか?
DIGSとは何ですか?
E海洋潮汐モデルは何を使用していますか?
FGPS精密解析情報提供サービスの解析情報がライフライン施設、ダム、長大橋及びトンネル等の変動・変位の監視等に利用可能な理由を教えてください。
Gユーザ点を設置する利点を教えてください。
H地方公共団体の防災都市計画や企業の業務継続計画(BCP)等へ利用可能な理由を教えてください。
I位置情報を利用する上で注意することは何ですか?
Jこの解析情報を利用して基本測量や公共測量ができますか?
A. 全国規模の広域地殻変動、地すべり・地盤沈下、構造物(ダム・長大橋・トンネル等)変位の常時監視や各種工事の施工管理等に資するため、ユーザ設置のGPS連続観測点及び日本全国約1,200ヶ所(約20〜25q間隔)に設置された電子基準点(以下「GPS連続観測点等」という。)の位置情報を1日更新で提供する新しいサービスです。
なお、電子基準点については国土地理院ホームページを参照ください。
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A. 本サービスは、GPS連続観測点等及びIGS(The International GNSS Service)の公開するGPS軌道情報(超速報暦・最終暦)を組合せて、学術用精密基線解析ソフトウェア(The Bernese GNSS Software)により得られた位置情報(数値データ:緯度・経度・楕円体高、X座標・Y座標・Z座標、座標値時系列グラフ、基線値時系列グラフ、変動ベクトル図、歪み図等)及び品質評価情報等を電子メールにてご提供します。
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A. 本サービスより提供する位置情報の内容及びサンプルは以下の通りです。
位置情報区分 |
内容 |
座標数値データ |
ユーザ点や電子基準点の座標数値データ(三次元直交座標(X・Y・Z)、緯度・経度・楕円体高)
【座標数値データ】
|
基線数値データ |
ユーザ点や電子基準点の基線数値データ(東西・南北・比高)
【基線数値データ】
|
座標値時系列グラフ |
ユーザ点や電子基準点の1点毎の緯度・経度・楕円体高または、三次元直交座標(X・Y・Z)の時系列グラフ。
【緯度・経度・楕円体高】 【三次元直交座標X・Y・Z】
|
基線値時系列グラフ |
ユーザ点や電子基準点の2点間の斜距離、東西、南北、比高または、三次元直交座標(儿・兀・兒)の時系列グラフ。
【斜距離・東西・南北・比高】 【三次元直交座(儿・兀・兒)】
|
変動ベクトル図 |
ユーザ点や電子基準点の水平変動ベクトル図又は上下変動ベクトル図。(カラー)
各ベクトル図には、GPS連続観測点の番号・名称、行政界、河川、海底等深線、経緯度線、活断層、プレート境界等の表示が可能。
【水平変動ベクトル図】 【上下変動ベクトル図】
|
歪み図 |
ユーザ点や電子基準点の3点で構成された単位三角形毎の剪断歪み図又は面積歪み図。(カラー)
各歪み図には、GPS連続観測点等の番号・名称、行政界、河川、海底等深線、経緯度線、活断層、プレート境界等の表示が可能。
【剪断歪み図】 【面積歪み図】
|
※解析種類にはH1(最終暦使用)とD1(超速報暦使用)があります。
※最終暦を使用した位置情報の提供タイミングは以下の通りです。
・最終暦を使用した位置情報:GPS観測データ取得日の約3週間後
(IGSホームページにて最終暦の公開後)
※提供する座標系及び楕円体は原則以下の通りです。
・座標系:ITRF2000
・楕円体:GRS-80
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A. 本サービスより提供する品質評価情報の内容及びサンプルは以下の通りです。
品質評価情報区分 |
内容 |
解析状況通知メール |
ユーザ点や電子基準点のGPS観測データの有無、データの品質及び解析結果の有無を「○」「×」で評価した情報
【解析状況通知メール】
|
毎日点検メール |
ユーザ点や電子基準点の基線成分(斜距離・東西・南北・上下)を予め設定したしきい値※と比較して「正常」、「注意」、「警戒」の基準で評価した情報
【毎日点検メール】
|
※品質評価情報は、お客様のご要望により送信いたします。
※しきい値は標準値またはユーザ様のご希望で設定が可能です。
※毎日点検メールは、基準日に対する比較日の差からそれぞれの変位量を算出しています。
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A. 本サービスより提供する実況監視情報の内容及びサンプル【 】は以下の通りです。
累積変位量メール及び変位速度メールは、早期警戒システムの一部として、地盤・構造物の実況監視に係る情報(実況監視情報)をPUSH型でご提供いたします。
実況監視情報区分 |
内容 |
累積変位量メール |
ユーザ点や電子基準点の座標値(経緯度・楕円体高、X、Y、Z)及び基線成分(斜距離・東西・南北・上下)の累積変位を予め設定したしきい値※と比較し、「正常」、「注意」、「警戒」、「立ち入り禁止」、「通行止め」、「避難」、「その他」の基準で評価した情報
【累積変位量メール】
|
変位速度メール |
ユーザ点や電子基準点の座標値(経緯度・楕円体高、X、Y、Z)及び基線成分(斜距離・東西・南北・上下)の変位速度を予め設定したしきい値※と比較し、「正常」、「注意」、「警戒」、「立ち入り禁止」、「通行止め」、「避難」、「その他」の基準で評価した情報
【変位速度メール】
|
※実況監視情報は、お客様のご要望により送信いたします。
※しきい値は標準値またはユーザ様のご希望で設定が可能です。
※累積変位量メール・変位速度メールは、基準日に対する比較日の差からそれぞれの変位量を算出しています。
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A. GPS精密解析情報提供サービスより提供する位置情報の提供単位(契約単位)は、次表の通りです。
位置情報区分
|
提供単位
|
数値データ
(緯度・経度・楕円体高、X・Y・Z) |
1点単位
|
座標値時系列グラフ |
1点単位
|
基線値時系列グラフ |
1基線(2点)単位
|
変動ベクトル図 |
1点単位
|
歪み図 |
1三角形(3点)単位
|
※位置情報の提供方法は、予め契約者の指定した電子メールアドレス(1契約1アドレス)に上表の位置情報ファイルを添付して1日更新で送信します。
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A. 位置情報のご注文は、「GPS精密解析情報提供サービス利用契約約款」第6条第1項 別記様式第1利用契約申込書(PDF)及び別紙内訳書(PDF)に必要事項をご記入の上、日本測量協会へお申込みください。
位置情報のご注文方法及び提供料は次表の通りです。
位置情報区分
|
注文方法
|
提供料
|
数値データ
|
契約者区分(二次配信契約者/一般契約者)に応じたユーザ点又は電子基準点の局番号、局名称を記入した紙片をご提出ください。
(記入例1)
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契約者区分(二次配信契約者/一般契約者)の数量に応じた提供料
(基本提供料)
|
座標値時系列グラフ
|
数値データの提供を希望するユーザ点又は電子基準点の中から座標値時系列グラフの作製を希望する旨を記入した紙片をご提出ください。
(記入例1)
|
座標値時系列グラフの数量及び解析頻度に応じた提供料
|
基線値時系列グラフ
|
数値データの提供を希望するユーザ点又は電子基準点の中から基線値時系列グラフの作製を希望する旨を記入した紙片をご提出ください。
(記入例2)
|
基線値時系列グラフの数量及び解析頻度に応じた提供料
|
変動ベクトル図 |
数値データの提供を希望するユーザ点又は電子基準点の中から変動ベクトル図の作製を希望する旨を記入した紙片をご提出ください。
(記入例1)
|
変動ベクトル図の数量及び解析頻度に応じた提供料
|
歪み図
|
数値データの提供を希望するユーザ点又は電子基準点の中から歪み図の作製を希望する旨を記入した紙片をご提出ください。
(記入例3)
|
歪み図の数量及び解析頻度に応じた提供料
|
※ご不明な点が御座いましたら日本測量協会までお気軽にお問い合わせください。
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Q.GPS精密解析情報提供サービスで取り扱う電子基準点について教えてください。 |
A. 本サービスで取り扱う電子基準点は、国土地理院ホームページにおいて観測データ(RINEXデータ)が公開されているものになります。なお、平成23年
7月 1日現在の電子基準点リストは、ココをクリックしてください。ただし、電子基準点は、移転、廃点及び追加(新設)が随時実施されています。これら最新情報は、国土地理院ホームページをご参照ください。
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Q.位置情報の数値データ(POS形式)とは何ですか? |
A. 数値データ(POS形式)とは、GPS連続観測点等の1点毎の位置情報を記述したテキストファイル(文字コード:EUC)です。なお、数値データファイルには、GPS連続観測点等の番号、名称、解析に使用したソフトウェア名、GPS衛星軌道暦、座標系、楕円体及びGPS連続観測点の位置情報(三次元直交座標X・Y・Z、緯度・経度・楕円体高)が記述されています。
【座標数値データ】 【基線数値データ】
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Q.GPS精密解析情報提供サービスから提供する「PS形式ファイル」とは何ですか? |
A. PS形式ファイルとは、Adobe Systems社が開発したページ記述言語(PS:Post Script)にて作製された画像(グラフ及び変動図等)ファイルで、このファイルを使って高品位な印刷が可能です。なお、本サービスでは、座標値時系列グラフ、基線値時系列グラフ、変動ベクトル図及び歪み図等の解析情報をPS形式ファイルにて提供します。また、PS形式ファイルはAdobe
Systems社のAcrobat Distillerを使ってPDFファイル(Portable Document Format)に変換することができます。詳しくは、Adobe Systems社のホームページをご参照ください。なお、PDF形式ファイルによる提供も致しますので、ご注文の際はお申し付けください。
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Q.GPS精密解析情報提供サービスの申し込み先は? |
A. 本サービス利用契約約款の内容をご確認の上「GPS精密解析情報提供サービス利用契約申込書」を次の宛先へお送りください。
(申込書送付先)
〒300-2657 茨城県つくば市香取台B45街区1画地
公益社団法人日本測量協会 測量技術センター 測地基準情報部
電話番号:029-848-2003(直通) FAX:029-848-2017
E-mail:
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A. 地殻変動(Crustal Movement)とは、地球内部のストレス(主に熱エネルギー)によって引き起こされる地殻(地球表層部)の一部が変位・変形する現象です。地殻の変位・変形が生じると地盤の隆起や沈降又は断層や褶曲が出現する場合があり、これらを総称して地殻変動と言います。なお、地殻変動には成因から幾つかの種類があり、地震活動、活断層、火山の噴火などのように、地質学的な時間からいえば瞬間的におこる変動又は外部天体(月・太陽)に起因する地球の力学的応答や気候変動による海面変動にともなって起こる地盤の変化若しくは地殻の隆起や沈降、水平移動、あるいは造山運動といったより長期的な変動もあります。激しい地殻変動はプレート境界でみられプレートが互いに離れて行く中央海嶺や大地溝帯では、浅発地震をともないつつ地殻を割って火山が噴火している場合もあります。また、プレートの衝突境界(収束域)では、海洋底が沈み込み海溝が生じて、内陸側へ震源が次第に深くなる地震が発生し、同時に火山活動も活発で、ときには造山運動も起こります。近年、非地震性の地殻変動がGPS連続観測の解析結果から捉えられ、断層が地震波を発生することなくゆっくりと動いてゆく「サイレント地震」や地震後の数日〜1年間以上の長期の間に地殻が変動する「余効変動」の存在が明らかになっています。
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A. 軌道情報(orbit information)とは、GPS/GNSS衛星の任意の瞬間の位置を計算するためのデータのことで、放送暦と精密暦の2種類があります。
放送暦は、測位信号中の航法メッセージに含まれる衛星軌道情報で、主な用途は、単独測位用の衛星軌道情報で現在の精度は衛星位置で数mです。この暦は精密測位や短基線の相対測位に使われることがありまするが、長基線の相対測位や精密単独測位に使用するには精度が不足しています。
精密暦は、全世界約370局の観測局網から得られたデータを使用して、後処理の精密解析より求められたものであり、GPS/GNSS衛星の位置情報に加えて高精度の衛星時計情報も含まれています。なお、精密暦はIGS
(International GNSS Service)が作成し、ホームページより無料にて公開されています。
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A. 精密暦には提供タイミングに応じて3種類の暦があります。ユーザは、これら暦の精度や用途によって選択できるようになっています。以下に精密暦の種類及びGPS/GNSS軌道情報の精度等を示します。
暦の種類 |
最終暦 ( Final )
|
速報暦 ( Rapid ) |
超速報暦 (Ultra-Rapid)
|
決定/予報値
時間遅れ
|
決定値
約2週間 |
決定値
17時間
|
決定値
3時間 |
予報値
即時 |
提供頻度
|
1週間毎
|
1日毎
|
6時間毎
|
時間間隔
|
軌道
|
15分
|
15分
|
15分
|
時計
|
5分
|
5分
|
15分
|
位置精度
|
軌道
|
<5p
|
<5p
|
<5p
|
10p
|
時計
|
<0.1ns
|
0.1ns
|
0.2ns
|
5ns
|
※時間遅れは平均値、精度は公称精度。
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Q.GPS精密解析情報提供サービスではどの暦を使っているのですか? |
A. 本サービスでは、1日更新で提供する位置情報には超速報暦を、約3週間後に提供する位置情報には最終暦をそれぞれ利用しています。
1日更新で提供する位置情報は、国土地理院ホームページで公開されるGPS観測データ(UTC:0:00〜23:59:59の24時間データ)の取得後に解析を開始します。超速報暦はUTC:0:00の暦を使用しています。
参考として、基線測定誤差の概略計算例を以下に示します。超速報暦を利用した毎日提供する位置情報が速報値として、最終暦を利用した解析情報と遜色のない精度であることが分かります。
参考:基線測定誤差=衛星の位置誤差÷衛星までの距離
放送暦 : 100p÷2,000,000,000= 5×10-8
超速報暦 : 5.6p÷2,000,000,000=2.8×10-9
最終の精密暦 : 5p÷2,000,000,000=2.5×10-9
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A. IGS(International GNSS Service)とは、国際測地学協会(IAG:International Association of Geodesy)により1994年に設立された組織で測地学や地球物理学研究をサポートしています。その活動は、GPS衛星の追跡観測を行いそのデータの解析により、GPS衛星の精密な軌道情報や地球回転パラメータ等をインターネットを通じて公開しています。IGSの活動を支える約370箇所のGPS観測局、3箇所のグローバルデータセンター、7箇所の解析センター等は、測地学研究を行っている各国の大学、研究所等の国際的な協力によって運営されています。
我が国(国土地理院)では、つくば観測局(TSKB)をはじめとする国内6観測局及び南極昭和基地に設置した観測局をIGSに登録し、取得した観測データを、IGSを通じて広く世界へ提供されています。また、軌道情報やIGS点の観測データ等を日本国内の利用者へ提供する窓口業務を行っています。
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A. 潮汐モデルは、NAO.99Jb、NAO.99b、NAO.99(出典:国立天文台)を使用しています。
・短周期海洋潮汐モデル (NAO.99b & NAO.99Jb モデル)
・長周期海洋潮汐モデル (NAO.99Lモデル)
これらのモデルの詳細は、国立天文台水沢VERA観測所ホームページ若しくは以下をご参照ください。
Matsumoto, K., T. Takanezawa, and M. Ooe, Ocean Tide Models Developed by Assimilating TOPEX/POSEIDON Altimeter Data
into Hydro dynamical Model: A Global Model and a Regional Model around Japan, Journal of Oceanography, 56, 567-581, 2000
なお、GPS精密解析サービスには、11分潮(M2、S2、Q1、K2、K1、N2、O1、P1、Mf、Mm、Ssa)を採用し、解析プログラムは、
「GOTIC2」(出典:国立天文台)を使用しています。
GOTIC2については、国立天文台水沢VERA観測所ホームページをご参照ください。
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Q.GPS精密解析情報提供サービスの位置情報がライフライン施設、ダム、長大橋及びトンネル等の変動・変位の監視等に利用可能な理由を教えてください。 |
A. 1990年代に全地球的な衛星追跡観測網が構築されGPS(Global Positioning System)衛星の精密軌道が得られるようになると地上の測位精度が飛躍的に向上したことに加えて、GPSアンテナを地面や安定した構造物に固定し、測量機器の設置誤差を回避して、GPS受信機を連続稼働させてデータを常時取得できるシステムを構築することで、地殻変動、地すべり、地盤沈下及びダム・長大橋・トンネルといった巨大な構造物等の変動・変位の常時監視が可能な環境が整うようになりました。
我が国では、1989年、防災科学技術研究所が約30箇所のGPS連続観測点を関東・東海地域に設置したことを契機とし、1993年以降、国土地理院が全国にGPS連続観測網(GEONET)の構築を開始して、2002年日本全国に約20〜25q間隔(約1,200点)のGPS連続観測点(電子基準点)が整備されました。そして、全国の電子基準点の位置座標が毎日高精度に算出され時間分解能が向上するに従い、それまで捉えることができなかったダイナミックな地殻変動の検出を可能としました。さらに、連日24時間の連続観測を行うことで、地震計では捉えることのできない低周波側(約1Hz未満)の変位・変動を検出できることから地震波を伴わないスロー地震、地震後の余効変動、移動速度の遅い地すべり、地盤沈下及びライフライン施設、ダム、長大橋およびトンネル等の構造物の変位・変動の常時監視に有効なツールとして期待されています。
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A. ライフライン施設、ダム、長大橋及びトンネル等の変形・変位並びにこれら構造物周辺域の地殻変動の常時監視を効果的に実施するには、これら構造物に直接若しくは構造物の周辺地盤等にユーザ点を稠密に設置する必要があります。24時間連続稼働を行うことで、直接構造物の変形・変位や周辺地盤の変動を高精度かつ高い時間・空間分解能で把握することが可能となります。また、観測データを通信回線経由で取得できる環境を整備すると、人手によるデータ回収の手間や経費の削減が可能となります。
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Q.地方公共団体の防災都市計画や企業の業務継続計画(BCP)等へ利用可能な理由を教えてください。
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A. 本サービスの位置情報は、地震による地殻変動や数十年の短期的な地殻変動を高精度で捉えることを目標としています。また、長期的変動との関係は重要な課題であり地形地質の形成過程の解釈及び将来の地殻変動予測に有力な資料となります。
したがって、地方公共団体の防災都市計画及び企業の業務継続計画(BCP)等への利活用を目的とし、測地学的なGPS精密解析情報サービスの位置情報を地形学的な活断層調査等の結果へ加えることにより、地殻変動の規模や範囲を長期的に評価する上で有効なモニタリング情報を得ることが可能となります。また、地震発生後に、地殻変動量を面的に把握し、速やかに被害を推定することで、応急活動の適切な初動に役立てることが期待されます。
また、ひとりでも多くの住民が地殻変動現象を正しく理解し、地盤災害等に備える自助や、地域社会の共助の連携を深め、安全かつ確実な避難体制の構築に向けた効果的な防災活動へ繋がるものと考えています。
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Q.位置情報を利用する上で注意することは何ですか?
|
A. 位置情報には、地殻変動に限らず幾つかのノイズが含まれています。このノイズには、可逆的な変動と非可逆的な変動があります。以下に各変動の主な原因を示します。
解析情報に現れる
変動の区分 |
ノイズの主な原因
|
可逆的な変動
|
積雪、磁気嵐、豪雨等の一時的な気象擾乱
|
非可逆的な変動
|
GPS連続観測点の保守作業(樹木の伐採含む)、ピラー傾斜、地殻変動、地すべり等
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可逆的な変動は、一定期間を過ぎるとノイズレベルが平常時に戻るため、十数日前の変動量との差(成分変化量)を判定することで、ノイズレベルを超える変化を検出することが可能です。
非可逆的な変動は、座標値の飛びや一定方向へのずれが、変動前のレベルに戻らない現象のことで、その変化の検出には長期間に及ぶ監視が必要となります。
なお、GPS連続観測点等のうち電子基準点の保守作業(樹木の伐採、アンテナ交換)、凍上現象及び建物の新築等についても位置情報に影響を及ぼす場合があります。これら電子基準点に係る地殻変動と関係のない座標変化については、国土地理院ホームページに詳しい解説が掲載されています。また、電子基準点の使用機器の交換や調整、観測点周囲の樹木の伐採等をまとめた電子基準点保守作業リストについても、国土地理院ホームページに掲載されています。
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Q.この位置情報を利用して基本測量や公共測量ができますか? |
A. 本サービスから提供される位置情報(数値データ:緯度・経度・楕円高、X座標・Y座標・Z座標)は、地殻変動若しくは建造物変位等の常時監視や各種工事の施工管理等を主な利用目的としています。したがって、本サービスの位置情報を使用して基本測量又は公共測量を実施することはできません。なお、基本測量及び公共測量に使用できる「測量の基準」については、国土地理院ホームページを参考にしてください。
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